2017年11月19日

中国雑感1

「中国国際SF大会」に招かれて四川省の省都、成都市へ行ってきた。北京、天津、上海、重慶という直轄市に次いで重要な「副省級市」で、日本なら東京、大阪、名古屋という三大都市に次ぐ、京都、神戸、横浜クラスの都市――それでも僕の印象では、ニューヨークを思わせるような巨大都市だった。摩天楼が立ち並び、高級ブランド店が軒を連ねる大型ショッピングセンターや洗練された観光施設も、一つや二つではない。それでいて猥雑な裏通りも残っているところが、またニューヨークっぽいのだ。

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車もバイクも自転車も人もひしめいていて、それぞれの距離が怖いくらいに近い。強引な割りこみ、そこかしこで止むことなく響き渡るクラクション、怒鳴り続ける路線バスの運転手――事故も多いのだろうが、少々のトラブルなど物ともしないエネルギーに満ちている。金持ちは日本のヒルズ族以上と思わせられる一方、交差点の路上では物売りが堂々と商品を広げている(あまりに無造作なので、誰かが事故でも起こしたように見えた)。非常に重層的である。

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上はホテルから眺めた成都の夜景――PM2.5のスモッグで少しけぶっているところは『ブレードランナー』の世界を、ちょっと連想させられた。スモッグは冬になるとさらにひどくなり、マスクが欠かせないという。

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四川省は「美しい天府の国」と讃えられるのだが、上の写真は「天府広場」で撮った毛沢東の像――四川科学技術館の前に立っている。振り返ると下のような近代的な街並みが見渡せる。

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posted by 藤崎慎吾 at 23:23| Comment(1) | 日記

2017年11月08日

「深海大戦」3部作の合本版

電子書籍で「深海大戦」3部作の合本版が発売されました。3冊バラで買うと5400円(税別)のところ、合本版なら4860円(税別)と、かなりお得になっています。しかも特典として柳瀬敬之氏(メカニックデザイナー)の装画と、大暮維人氏(マンガ家)によるキャラクターデザインのラフ画を収録しています。BOOK☆WALKERをはじめ、Amazonなど主要なインターネット書店で扱っています。

下の写真は関係ありません。ウチの窓からいちばん近い電信柱に、よく来る連中のスナップです。

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posted by 藤崎慎吾 at 12:02| Comment(0) | 日記

2017年10月28日

米田絵里さんの『螢女』イメージイラスト

Mさんが再び米田さんにリクエストして、今度は『螢女』のイメージイラストを描いてもらいました。私もその画像をいただいたので掲載します。

全てが螢の光に淡く照らしだされた世界――深い闇の中に誘いこまれそうです。中国語版の表紙絵とはまたちがった形で、様々なモチーフが違和感なく散りばめられています。「ああ、あれがここに……」と見つけていくのも、また楽しい。とくに山ノ神(熊)と螢女(澄子)の重なり具合が、一部だまし絵的に輪郭を共有していて絶妙だなと思います。これだけで色々なことを語ってくれます。そして画面中、唯一、明るくて色鮮やかな虫かごのまわりを飛び交っているのは、チョウとトンボではありませんか。ちゃんと『ハイドゥナン』への伏線まで張ってくれたのでしょうか。だとしたら実に心憎いですね。

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なお中国語版の表紙ですが、どうやらベースの色を乳白色に変更したようです。イラストがもっと目立つようにとの意図らしいんですが、どうでしょうか。個人的には前のほうが好きだったかな……。

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posted by 藤崎慎吾 at 18:35| Comment(3) | 日記

2017年10月05日

『螢女』中国語版カバー

今月末くらいに中国語版の『螢女』が出版される予定です。そのカバー画像が送られてきました。ちょっと地味な印象ですが、イラストには物語に出てくる様々なモチーフが組み合わされていて、じっくり眺めていると中々面白い。「ああ、ここにあれが……」という感じで、読んだことのある人なら判じ物として楽しめるかもしれません。

カバーの表紙部分と折り返しは、こんな感じ。

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裏表紙部分の折り返しには、なぜか『クリスタルサイレンス』も紹介されています。

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ちなみに文庫のカバーは、こんな感じでした。左が朝日ソノラマ、右が早川書房――コンセプトは同じですね。どちらも中国語版とはずいぶん趣が異なります。

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この本のプロモーションというわけでもないんですが、11月上旬に四川省成都で開催されるSF大会に招待されています。中国は初めて、というか共産圏の国に行くのは初めてだし、もちろん中国語はわからないし、辛いものは大の苦手だし、ということで色々と不安はあるのですが、せっかくなので恥をかいてこようと思っています。

それにしても15年以上前に出した小説が、今ごろ外国語に翻訳されるというのも変な気分です。何しろ日本ではもう文庫本も絶版で、電子書籍はないし、図書館や古本屋でもめったに見かけることはない……それが別の国で出るのかと思うと、逆に寂しさが募ります。

posted by 藤崎慎吾 at 23:56| Comment(4) | 日記

2017年09月11日

『螢女』聖地巡礼ツアー

週末、色々とご縁があって、今や絶版となっている拙著『螢女』のロケ地を約15年ぶりに巡ってきました。参加者は僕を含めて総勢3人です(笑)。あの物語に登場する「民宿」にも今回、初めて宿泊しました。すると驚くべきことが、わかりました。まず、その宿のご主人は(もちろん初めて会うわけですが)、物語中「刈場修造」という名前で登場する民宿の主人に(僕の頭の中では)そっくりでした。名前こそ異なりますが「2代目」というところも同じで、刈場と同様、薪割りを日常業務の一つにしています。さらに、そのご主人は『螢女』を読んでくれており、一緒に読んだ近所のお仲間5人とともに、大きな衝撃を受けたと言います。どうしてでしょうか?

もし本をお持ちの方は読み返していただきたいと思いますが、物語には主人公が幼いころに親しくしていた「澄子」という少女が登場します。彼女の家は「オーサキ」という一種の妖怪に取り憑かれて凋落し、澄子自身も不幸な運命をたどることになります。もちろん100%フィクションとして書きました。ところが宿のご主人の話では、かつて実際に「オーサキ憑き」の家が近所にあって、そこに澄子という名前の娘がいたというのです。物語の中でと同様「澄ちゃん」と呼ばれていたようです。15年の月日を経て、それを知った僕にとっても衝撃的でした。もっとも現実に存在した澄子さんは、物語の少女のように早世することはなく、70歳くらいまでは生きていたということです。

聞けば、その土地には今でもオーサキに憑かれた経験をもつ人がご存命なのだそうです。そして憑きものを「祓う」役目をしていた巫女のようなお婆さんも、つい最近まで活躍しており、宿のご主人はお祓いの様子を見たことがあるようでした(神楽鈴のような道具を使うのだとか)。どこかの山奥深くの話ではありません。都会から2時間ほどで行ける、どこにでもあるような山里です。100年前の『遠野物語』でもありません。まさに「これはこれ目前の出来事」であり、「願はくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」という言葉が新鮮に聞こえてきます。こうして自分で書いていても、ちょっと背筋が寒くなるようです。

宿から近くの山に分け入って数時間歩くと、『螢女』では「クマノタワ」と呼ばれている不思議な雰囲気の場所に出ます。以下は、その時に撮った写真です。天気にも恵まれ、非常に気持ちのいいハイキングになりました。

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……という具合で、苔むした森の緑がとても美しい。

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岩の上をコブラのような樹が這っている。

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森の中に突然、開けた窪地が広がる。ここが神殺し伝説のあるクマノタワ(現実の地名とは異なります)。

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クマノタワの「主」とも思える大木。

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大木自体は立ち枯れているものの、太枝の上からは次世代の芽がふいている。

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根元には立派なサルノコシカケが。

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これは別の樹の切り株から出た蘖(ひこばえ)。

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天然のオブジェ――森は天才アーティストだ。

posted by 藤崎慎吾 at 13:05| Comment(3) | 日記